もどる? もどらない?

朝倉 玲

Asakura, Ley

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★はじめに★

この作品は、全3ページで構成されています。

途中、「もどる」と「もどらない」を選ぶところが2カ所ありますが、その選択次第で、主人公はまったく違う4つの結末を迎えることになります。

さて、あなたはどの結末にたどりつくでしょう? 

第1章 けんか

 「まことくんの馬鹿っ! うそつきっ!」

 

 突然、さえちゃんからそうどなられて、ぼくはぽかんとしてしまった。

 小学校からの帰り道。明日から夏休みが始まるんで、ぼくもさえちゃんも、お道具箱や上ばき、図工の作品なんかが入った袋を、両手にいっぱい下げていた。

 さえちゃんは、ぼくの家の近所に住んでいて、幼稚園のころからのぼくの一番の友達だ。4年生になった今でもずっと仲良しで、毎日一緒に学校から帰っている。

 今日だって、一緒に並んで歩きながら、夏休みになったら何して遊ぼうか、って話していたところだった。さえちゃんが怒るようなことなんて、何も言わなかったんだけど……

 

 急にどうしたのさ? って聞こうとしたら、さえちゃんが顔を真っ赤にしてまたどなった。

「まことくんのうそつき! もう顔も見たくない! あっち行ってよ!!」

 おさげにした髪をふりたて、手に持った上ばき袋をぶるんぶるん振り回して、とても手がつけられない。

 道を歩いていた人たちが、驚いたように振り返ってくる。

 よせよ、さえちゃん。まるで、ぼくがさえちゃんをいじめてるみたいじゃないか。

 

 すると――

 ばんっ!!

 いきなり目の前が暗くなって、鼻の根元が、ものすごく痛くなった。

 さえちゃんが上ばきの袋でぼくの顔をなぐったんだ。

 さすがのぼくも、これには頭に来た。鼻血は出なかったけど、鼻の奥がじんじん痛んで、涙がにじんで来た。

 「わかったよ、あっち行ってやる! もう2度と口もきいてやるもんか! さえちゃんなんか、大っきらいだっ!!」

 たたきつけるようにそうどなると、ぼくは走り出した。後ろからさえちゃんがにらんでいるような気がしたけど、ぼくは振り返らなかった。

 

 でも……

 

 横断歩道をかけ抜けて、公園の角を曲がったところで、ぼくはふっと立ち止まった。

 今……うしろで急ブレーキの音がしなかったか……?

 自動車が急停車した音だ。

 ぼくは急に心配になってきた。

 もしかしたら……もしかしたら、さえちゃんがぼくの後を追いかけてきて、道路に飛び出して車にひかれたんじゃないだろうか……? 

 

 さえちゃん……!

 ぼくは思わず振り返った。

 

 

→さて、このあと「ぼく」はどうするだろう?

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