「勇者フルートの冒険」

12.冒険の終わり

さて、フルートたちが町に戻ると、町の入り口ではたくさんの人たちが出迎えてくれていました。
みんな、「勇者フルート、ばんざーい!」と口々に言っていました。

フルートたちがお城に行くと、王様も喜んで王座から下りてきて、フルートの手を取りました。
「おお、フルートよ、よく戻った。神様のお告げで、おまえが敵を倒してくれたことは知っておったぞ。よくやってくれた。・・・ところで、こちらにいるのはどなたかな? 見たことのない顔だが」
と王様が不思議そうにゼンを見たので、ゼンは「俺は北の山の洞窟に住む、ドワーフのゼンです!」と元気に答えました。
「そうかそうか。君がご神託にあった勇者の仲間か」
すると、足下から子犬がワンワンと鳴きました。
「王様、ぼくも一緒に戦いましたよ、ワンワン」
「おっと、これは驚いた! ことばを話す犬殿か」
「ポチといいます。ワンワン」
「なるほどなるほど。ところで、君たちのために城の大広間に祝いの席を用意しておいた。どうか思う存分食べたり飲んだりしてくれ」

というわけで、お城ではお祝いのパーティが始まりました。
おいしいご馳走や飲み物を、フルートもゼンも子犬も、お腹いっぱい食べたり飲んだりしました。
王様はフルートたちにご褒美の金貨もたくさんくれました。魔法の銀の鎧や鏡の盾も、王様に返さなくてよい、そのままフルートのものにして良いと言ってくれました。
そして、その夜、フルートたちはお城に泊まりました。


つぎの朝、ゼンがフルートに言いました。
「おれ、そろそろ北の山の家に帰るよ。父ちゃんたちが心配しているだろうからさ」
「そうか、さびしくなっちゃうね」
とフルートが残念がると、ゼンはにやっと笑って言いました。
「なぁに、すぐまたフルートの家に遊びに行くさ」

フルートはポチに聞きました。
「君はこれからどうするの?」
すると、ポチは首を傾げて言いました。
「ぼくには帰る家がありません。もし良かったら、このままフルートとずっと一緒にいたいな」
「それじゃ、ぼくの家においで。一緒に暮らそうよ」
とフルートが言いました。そこで、ポチは喜んでフルートの家の犬になることになりました。

そうして、ゼンはフルートとポチに見送られて、北の山へ帰っていきました。
王様からもらったたくさんのおみやげの袋をかついでいます。
フルートも、ご褒美のお金やおみやげを持って、ポチと一緒に自分の家に帰りました。
お父さんとお母さんは、フルートが無事に帰ってきたので大喜びしました。
そして、またみんなで仲良く平和に暮らしました。



さて、これで「フルートの大冒険」の話は全部おしまい。
でもね、フルートたちはまた冒険に出かけるんだよ。
今回は北と西と南には行ったけど、東にはまだ行っていないんだ。
この次は、東のほうへ冒険に行こうかな。

でも、それはもう少したってからのお話ね。
今回の大冒険は、これでおしまい。
めでたしめでたし。

・・・おもしろかったかな?


(2003年2月6日)



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