8.西の森
西の森はドワーフの洞窟から歩いて半日くらいのところにありました。
フルートとゼンが森に足を踏み入れたとたん、すぐ近くから声がしました。
「良く来たな、子どもたち。待っておったぞ」
フルートたちはびっくりして声のしたほうを見ました。
一本の大きなもみの木が生えているだけです。誰もいません。
誰も・・・
あ、いいえ、いましたいました。もみの木の太い枝の上に、一羽のフクロウがとまっていました。
「わしを探しに来たのだろう? こどもたち」とまたフクロウが言いました。
ゼンはびっくりしたように目を丸くして言いました。
「あんたが西の森の物知りなのかい? へえぇ〜・・・まさか鳥だとは思わなかったぜ」
「鳥でもこの国のことはよく知っておる。おまえたちがどうして旅に出ているのかも、ちゃんと知っておるぞ。この国をおおっている闇の正体を知って、闇を追い払おうとしておるんじゃ。勇敢な子どもたちだ」
「フクロウさんは闇の正体をご存じなんですか?」とフルートは聞きました。
フクロウは丸い目玉をぎょろりと動かして、じっとフルートを見つめました。
「この闇は、南の沼から発生しておる。沼にはなにかが住み着いていて、沼の水を黒い霧に変えて国中の空にまきちらしておるのじゃ。じゃが、わしにもこれ以上詳しいことはよくわからん。南の沼はここから遠いし、闇の霧は濃い。とりあえず、ここから南の沼をめざしてまっすぐに歩いていくと良い。沼の手前にある白い石の丘に、わしの友だちが住んでいるから、その友だちを呼んで詳しい話を聞きなさい。わしの紹介できたと言えば、きっと力になってくれるじゃろう。そいつも、わしに劣らぬ物知りだからな。そうそう。途中で困っている者にであったら、助けてやるといい。きっとその者もおまえたちの力になってくれるぞ」
そして、フクロウは「がんばって行きなさい」と、フルートとゼンを応援してくれました。
フルートたちはフクロウに言われたように、南の沼をめざすことにしました。
さあ、南の沼には何が住み着いているんだろうね。
この続きはまた明日。
おやすみなさい。
(2003年2月3日)
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