4.炎の馬
野宿をしていたフルートは、夜中にふと目を覚ましました。
どこからか、馬のひづめの音が聞こえます。
空を見上げると、遠くから何か赤く光るものが近づいてきます。
光はぐんぐん近づいてきて、見る見るうちに一頭の馬の姿になりました。
炎の馬が、こちらをめざして空を一直線に駆けてくるのです。
フルートは跳ね起きると、剣を持ち盾を構えました。
フルートの目の前に炎の馬が降り立ちました。真っ赤に燃える炎のたてがみとしっぽ、全身も輝く金の火に包まれています。
フルートは剣で馬に斬りつけようとしました。
すると、馬が口をききました。
「おやめなさい。私はあなたの味方ですよ」
フルートはびっくりして、剣を止めました。
すると、炎の馬が言いました。
「私は泉の長老のお使いです。泉の長老は知っていますね? あなたにその金の石をくれた方ですよ。長老は、あなたが闇を追い払う旅に出たと知って、きっともっと強い武器が必要だろうから、とこれを私に預けてきたのです。受け取りなさい。炎の剣です」
そう言って、馬は見事な剣をフルートに渡しました。
さやに真っ赤な宝石がはめ込まれた、とても美しい剣です。
「今ある武器ではかなわないような敵に出会っていたのではありませんか?」と炎の馬が言いました。
「その剣なら大丈夫。きっとあなたは勝てるでしょう。がんばってくださいね。それでは」
そう言って、炎の馬はまた空に駆け上がり、泉のある方角へと駆け去っていきました。
フルートは新しくもらった剣を眺めました。
さやから抜いてみても、普通の剣です。
これのどこが炎の剣なのかな、と思いながら、それを地面に置くと、ボウッとたき火の炎がいきなり大きくなりました。
炎の剣がそばに来たので、火が勢い良く燃えだしたのです。
薪をくべなくても火がどんどん燃えるので、フルートは安心して、火のそばでぐっすり眠ることができました。
さあ、新しい武器が来たけれど、今までのロングソードはどうしようね?
邪魔になるから、ここに置いていこうか?
え? 持っていきたいの?
分かった分かった。それじゃ、炎の剣とロングソード、背中に2本十字に背負っていくことにしようね。
明日は炎の剣の威力が分かるよ。
うんうん、ちゃんとスライムを出すからね。
それじゃ、今夜はこれでおやすみなさい。
また明日。
(2003年1月30日)
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