３．怪物の森

フルートはお城を出ると、北をめざして歩き続けました。
あたりは闇におおわれて薄暗いけど、歩く道くらいはなんとか見えました。はるか彼方に、白い雪におおわれた山がぼんやり見えます。あれがめざす北の山です。

やがて、フルートは大きな森に入りました。
深い森で、大きな木がうっそうと枝をしげらせています。
フルートはたいまつに火をつけて進みました。
なんだか今にも何かが出てきそう。


と、バキバキバキ・・・グァオーー！！　すぐ近くからものすごい音と声がして、一頭のお化けグマが現れました。
ものすごく大きなクマです。
フルートはあわてて飛びのくと、盾と剣を構えました。
クマが鋭い爪をフルートに振り下ろしてきました。カキーン！　盾が爪を跳ね返しました。
良かった。お化けグマの爪には毒があったから、やられたら体がしびれて動けなくなってしまうところだったんだよ。
フルートが剣を突き出すと、クマの体に刺さりました。
クマは悲鳴を上げて逃げていきました。


フルートはホッとして、また歩き続けました。
しばらく行くと、小さな空き地があって、切り株がありました。フルートは歩き疲れたので、切り株に座って休もうとしました。
すると、切り株が突然、ひょい、ひょいと動き出したのです。
木の根っこを足にして、あちらこちらと動き回ります。目と口も現れました。切り株お化けです。

フルートは剣を抜いて斬りつけました。でも、切り株お化けは素早くて、全然剣が当たりません。
そこで、フルートはたいまつを切り株お化けに投げつけました。　ボウッ！　切り株お化けは火に包まれて、あっという間に炭になってしまいました。
フルートは切り株お化けを剣でまっぷたつにしました。すると、キラリと光るものが中にあります。
拾い上げてみると、それは青い宝石のついた指輪でした。
フルートは、はめてみようかな、とも思いましたが、やっぱりやめて、荷物の中の袋に指輪をしまいました。


またしばらく歩いていくと、今度はわきのほうから、ぬるぬるぬめぬめした、ゼリーのような物体が現れました。
スライムです。
フルートはスライムに剣を振り下ろしました。
すると、スライムは二つに切れて、なんと２匹のスライムになりました。そのスライムを剣で切ると、また２匹のスライムになります。
この世界のスライムはね、切ると分裂して増えちゃうんだよ。
たくさんに増えたスライムは、うにょうにょうごめきながら、フルートに向かって押し寄せてきました。
スライムにつかまったら、取り囲まれて、溶かされてしまいます。
とてもかなわない、と思ったフルートは、大慌てでその場を逃げ出して、なんとかスライムから逃げ切ることができました。


やっと、怪物の森を抜け出しました。
お腹もすいたので、フルートはたき火をたいて、そこで野宿することにしました。
お弁当に持ってきたパンと干し肉を食べて、お茶を飲んで、火が消えないようにたき火に薪をたくさんくべると、地面に横になりました。火が燃えていると、化け物が寄ってこなくなるからです。
フルートが来ているのは魔法の鎧なので、寒さは全然感じませんでした。
火が消えてしまわないように、夜中にまた起きて薪をくべなくちゃいけないな、と思いながら、フルートは眠りにつきました。


え？　夜中に何か出てきそうだって？
あたり。出てくるんだよ〜。
でも、何が出てくるかは、ひみつひみつ。
また明日のお楽しみね。
おやすみなさい。