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第18巻「火の山の巨人の戦い」

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11.相談

 その夜、ムパスコの片隅の人目につかない場所に、十数人の男たちが集まりました。

 畑の作業小屋に火をおこし、それを囲んで円陣を作っています。全員が縞模様の長衣を着ていますが、その柄や色合いは人によって違っていました。年齢も、若者から老人まで様々です。

 難しい顔つきをした年配の男が口火を切りました。

「モージャがムパスコに戻ってきただと?」

「そうだ! しかも得体の知れない白い人間を連れている!」

 と答えたのは、日中、赤の魔法使いに切りつけて、フルートに防がれた男でした。今も腰には剣を下げています。

「白い人間? モージャが連れてきたのか? そんなまさか!」

 と別の男が驚くと、剣の男は頭を振りました。

「あれが本物の白い人間のはずがない! モージャを友だちだ、などと言ってるんだからな! モージャが魔法で呼び出した木偶(でく)に違いない! 村の連中はあいつにすっかりだまされているんだ!」

 

 そこに集まっていたのは、ムパスコの村々を代表する男たちでした。剣の男の知らせを受けて、夜に紛れて集まってきたのです。猫の目の魔法使いが帰ってきたという話に、誰もが警戒の表情を浮かべていました。村長の一人が言います。

「それで? モージャは何をしに来たのだ?」

「占いをするなどと言って、自分の家を復活させて、魔法の準備をしている。今度こそ、あいつはこのムパスコを滅ぼすぞ。あいつは俺たちを恨んでいるんだからな!」

 と剣の男が答えると、何人もの男たちがそれにうなずきました。

「あいつはムパスコを追い出されたことを恨んでいるし、白い人間と取引する俺たちのことも憎んでいる」

「魔法で俺たちを殺して、ムパスコを自分のものにするつもりでいるんだ。そんなことはさせられるか!」

 この南大陸には、中央大陸の動向はほとんど伝わっていませんでした。大陸の奥まった場所にあるムパスコでは、なおさらそうです。ロムド国に四大魔法使いと呼ばれる強力な魔法使いたちがいて、その一人が、猫のような目をした黒い小男だということは、中央大陸では有名な噂でしたが、ムパスコの人々はそれを知りませんでした。彼らの価値観と知識で、故郷に戻ってきた男を判断します。

 

「では、どうする?」

 と別の村の村長が一同に尋ねました。重い声です。

「モージャを殺そう。それしかない」

 と剣の男が即答すると、他の男たちが賛成しました。

 けれども、一人の男が言いました。

「あいつの魔法は強力だぞ。なにしろ百年ぶりの猫の目だ。俺たちはみんな、返り討ちにあうかもしれない」

「家の戸という戸に、魔法を防ぐ呪文を描くんじゃ。我々も呪文の盾を持つ。あれは今も魔力を持っているからな」

 と最年長の老人が言い、全員はいっせいにうなずきました。自分たちの谷と生活を守るために、猫の目の魔法使いを倒すことに決めたのです。

「襲撃は夜明け前。準備に取りかかれ」

 と長老に言われて、男たちは夜の中へ出ていきました。自分の村の防御と襲撃の準備のために、一度村へ戻っていったのです。

 光を失い、暗く静まり返っている峡谷の上では、細い夜空が星をまたたかせていました――。

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