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第19巻「天空の国の戦い」

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あとがき

 第19巻「天空の国の戦い」を読んでいただいてありがとうございます。

 作者の朝倉玲です。

 

 今回の物語の舞台は天空の国です。

 地面ごと浮かび上がって空を飛んでいる魔法の国というのは、某有名クイズゲームにもあったりするので、イメージしやすいかと思うのですが、決してあれを真似したわけではありません。

 おこがましいようですが、こちらの方が考えたのは先。

 ただ、よくある設定なので、「フルート」以前にも誰かが書いていただろうと思います。

 

 実を言うと、私はここ十数年、小説をまともに読んでいません。

 元々は小説が大好きです。活字人間だし、本大好きだし。でも、「フルート」を本格的に書くようになってからは読んでいないのです。

 というのも「小説断ち」をしているから……。

 私は決してオリジナリティ豊かな人間ではありません。

 「フルート」の物語は王道中の王道だし、舞台も登場するものも、ファンタジーを読み慣れている人からは「ありきたり」と評されることがよくあります。

 書店でもインターネットでも、ファンタジーは有り余ってまだ余るほどにたくさん出回っているし、私なんかよりはるかに独創的で面白い作品を書いている作家さんも大勢いるし。

 それがわかっているから、つい「私なんかが小説を書く必要なんてないよね」という気持ちになってしまうのです。

 

 でも、私はやっぱり小説を書くのが好きだし、「フルート」という物語やそこに登場するキャラクターたちが大好きです。

 この物語を書き続けて世に出していきたい、という気持ちも強くあります。

 どんなにありきたりに思われても、その場面を想像して、そこで起きる出来事を描き、物語に紡ぎ上げていくことは、私にしかできないことです。

 ところが、そんなときに他の作家さんの作品を読んでしまうと、私はたちまち自信をなくしてしまいます。

 あ、これ似てる。このキャラクターや展開、私も「フルート」で書いてた。真似したわけじゃないんだけどな。だけど、う~ん……。

 そんなふうに悩み始めると、自分の小説が書けなくなって、先に進めなくなってしまうのです。

 昔々、某SF雑誌の読者投稿コーナーに採用された作品が、雑誌の読者から盗作呼ばわりされたトラウマもあるかもしれません。盗作なんて絶対にしていないのですが、商業誌に発表されていた既存の作品によく似ていたらしいです──。

 「フルート」もよくある王道の物語です。似たような設定、展開、ストーリーはたくさんあるでしょう。だからこそ、それを書き続けるために、他の方の小説が読めない。だから小説断ちです。

 あの有名な「ハリーポッター」も、そういうわけでほとんど読んでいません。1巻の冒頭を読んで、あとは「フルート」が完結してからのお楽しみにとってあります。

 ただ、映像作品は大丈夫なので、映画やアニメのファンタジー作品は時々観ます。漫画も大好きです。映像ならば、それを文章に変換するのは私自身なので、スランプには陥らないのです。

 我ながら、本当にチキンだなぁ、と思います。でも、「フルート」シリーズが完結するまでは、小説断ちを続けるつもりでいます。

 

 そんな風にして今回の「天空の国の戦い」も書きました。

 3千年前から空を飛び続けている天空の国には、独特の文化や世界が作られています。とんでもなく強力な戦人形も登場するし、激しい魔法合戦も繰り広げられます。

 もしかしたら、これもありきたりの話なのかもしれません。なにしろ他の作品を読んでいないので、自分でよくわかりません。

 それでも私と一緒に楽しんでいただけたら嬉しいな、と心から願っています。

 

 次の外伝は「トムラムスト」。海に消えた大陸のお話です。

2020年4月9日

朝倉玲のサイン
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