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第13巻「海の王の戦い」

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あとがき

 第13巻「海の王の戦い」を読んでいただいてありがとうございます。

 作者の朝倉玲です。

 

 今回の物語の主人公はゼンです。

 ええもう、誰がなんと言おうと、ゼンが堂々の主人公です。

 全編を通しての大活躍。思う存分暴れ回ってもらいました。

 時にとても深刻な展開になる「フルート」ですが、ゼンを主人公にすると、とたんに全編明るくなります。

 危機に陥っても、やっぱり痛快。

 う~ん、主人公にするキャラを間違えたかも……?(苦笑)

 

 というのはもちろん冗談ですが、とにかく書いていて本当に楽しい「海の王の戦い」でした。読んでくださった方が一緒に楽しんでくれたら、作者としては最高です。

 

 ところで、毎回舞台が違う「フルート」ですが、今回の話がどうやって生まれてきたか、ちょっとメイキングの話もしてみましょう。

 私が住む福島県には、浜通りと呼ばれる、太平洋に面した海岸地方があります。私自身は内陸に住んでいるのですが、浜通りの海には時々遊びに行きます。子どもたちが小さい頃には、毎年のように行っていました。

 ある年、子どもたちを連れて磯辺に降りたら、ちょうどゆっくり潮が満ちてくる時間帯で、岩だらけの磯に波が打ち寄せては引いていました。

 上から見ていると、磯は潮だまりと呼ばれる大小の穴だらけです。波が岩を削って作った穴なので、不規則につながっていて、海のほうから海水が流れ込んでは引いています。

 流れ込んでは引いて、流れ込んではまた引いて。

 磯の穴の一つ一つがなんだか岩の部屋のようだなぁ、と思いました。

 水中でつながっている洞窟のような岩の部屋。そこには海水が流れ込んでいて、そこを通り抜けた先にあるのは……

 そんなふうに考えるうちに思いついたのが、人魚のシュアナの庭と、眼鏡の魔王が住む洞窟の部屋でした。

 

 海を見ながら思いついたお話です。

 海の生き物もたくさん登場させたし、彼らならではの戦いも繰り広げることができました。海のようにおおらかな海の戦士の戦いは、壮大でとても勇猛でした。

 ゼンやフルートたちの活躍と一緒に、そんな海の物語も楽しんでいただけたら、幸いです。

2020年3月27日

朝倉玲のサイン
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