「勇者フルートの冒険」シリーズのタイトルロゴ

第9巻「仮面の盗賊団の戦い」

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あとがき

 第9巻「仮面の盗賊団の戦い」を読んでいただいてありがとうございます。

 作者の朝倉玲です。

 

 この作品は世界編の最初の物語です。

 デビルドラゴンを倒す方法を見つけるために、それぞれの家を離れて旅に出てきた勇者の一行。さあ、世界へ! ──と思ったのですが、ロムド国内で思いがけない事件に巻き込まれます。

 懐かしいキャラクターも登場してきます。準レギュラーのようなキャラクターもおおいに活躍してくれます。

 不気味で不思議な能力を持つ仮面の盗賊団と、フルートたちの戦いの結末はいかに?

 今回もはらはらドキドキ楽しんでいただけたらと思います。

 

 「勇者フルート」シリーズは、子どもが大人に成長していく物語でもあります。

 最初は学校と自分の町くらいしか知らなかった子どもも、やがて自分の足で外の世界へ出て行くようになります。

 そこで様々な経験をするし、新しい友達とも出会います。

 でも、その冒険が終われば、彼らは必ず家に戻っていきます。「ただいま」と言って帰ると「おかえり」と親が迎えてくれる場所です。次の冒険が始まるまで、彼らは親の元で安心して過ごします。

 それが子どもの時代なんだと思います。

 

 でも、やがて彼らは親の庇護を離れて、自分がえらんだ仲間たちと社会へ出て行くようになります。現実ではまだ親元にいて、毎日学校から家に帰宅しているかもしれませんが、精神的には次第に親から離れていくのです。

 今、フルートたちはその段階まで来ています。

 恋愛が一筋縄ではいかなかったり、悩みや迷いや不安があったり、なによりデビルドラゴンを倒す方法を見つける、という最大の難問があったり、いろんなことを抱えながらも、仲間同士協力しながら先へ進んで行きます。

 彼らの旅路は成長の旅路です。

 同じ年代の読者は共感を覚えながら、その時代を過ぎてきた読者は自分の昔を振り返りながら、そして親となっている読者は自分の子どもたちのことを思いながら、彼らの成長を一緒に見守っていただけたら嬉しいです。

2020年3月22日

朝倉玲のサイン
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