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第5巻「北の大地の戦い」

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あとがき

 第5巻「北の大地の戦い」を読んでいただいてありがとうございます。

 作者の朝倉玲です。

 

 今回の物語は前作「闇の声の戦い」の1ヶ月半後の出来事です。

 北の大地と呼ばれる北極大陸が異常気象に襲われて、そのために世界中で異変が起きています。フルートが住むシルは熱波に襲われいるし、ゼンが暮らす北の峰やメールがいる西の大海は季節外れの寒さになっているのです。

 そんな中、フルートたちが北の峰に集合するところから、物語は始まります……。

 

 「フルート」の物語を、私は一枚の織物のようなものだと考えています。

 その作品全体を貫く物語の「縦糸」があって、これは連載の最初から変わらないのですが、その縦糸に絡まるエピソードの「横糸」はそのときの気分次第。かなり自由に、思いつくまま空想の広がるままに織り込まれて、事件や出来事を作り上げていきます。だから、その時々の時事問題や社会状況なんかも、無意識のうちに絡まってきたりします。

 今回の「北の大地の戦い」もまさにそれで、絡まった横糸は「地球温暖化」というキーワードでした。

 

 今回の物語のもう一つのテーマは、北の大地そのものです。一年中、雪と氷に閉ざされる厳寒の大陸。我々の地球なら南極大陸ですが、フルートたちの世界では北極に陸地があります。

 私は高校時代、雪国の会津に暮らしましたが、当時の会津は今より寒くて雪も多くて、雪や寒さというのはこんなにも圧倒的なんだ、と痛感したものでした。吹雪の中を歩くと一歩先も見えないホワイトアウトになって、それはまさしく「白い闇」でした。寒さや雪は怖いです。本当に。

 それでも、会津の人たちは環境に暮らしを合わせて上手に生きていました。それは北の大地も同じです。極寒の大陸にもトジー族という人々が住んでいて、町を作ってたくましく生きています。

 北の大地を大トナカイに乗って駆けるフルートたち。そして、小生意気でかわいいトジー族の少年のロキ。

 雪と氷の大陸の冒険を想像しながら、一緒に楽しんでもらえたら嬉しいです。

2020年3月18日

朝倉玲のサイン
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