「勇者フルートの冒険」シリーズのタイトルロゴ

第4巻「闇の声の戦い」

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あとがき

 第4巻「闇の声の戦い」を読んでいただいてありがとうございます。

 作者の朝倉玲です。

 

 今回の物語は前作「謎の海の戦い」の4ヶ月後の出来事です。

 ポポロと姉妹のように育った犬のルルが突然行方不明になり、フルートたちが探しに出発するのですが、そんな彼らに不気味な声がつきまとうようになります。

 ルルはいったいどこへ? 不気味な声の正体と目的は?

 謎が謎を呼ぶ状況の中、勇者の一行は全員がとんでもない悩みと葛藤を抱えるようになっていきます……。

 

 前作から私は、物書きとして本気で書いていこう、と決心したわけですが、その続きとして、この物語では「心」を描くことに重点をおきました。

 実を言えば、私はそれまで自分の小説に心の葛藤を深く書くことにためらっていたのです。シリアスで主人公たちが悩み抜くような小説は、読者に嫌われるんじゃないか、「マジすぎる」「読むのがかったるい」と避けられるんじゃないか、そんなことを考えていました。

 でも、私は本当は人の心について考えることも大好きでした。悩み抜き、葛藤した先に見つけたものが、その人をどんなふうに変えていくか。それはとても魅力的で、考えているとわくわくしてくるテーマです。

 小説を本気で書くならば、自分の書きたいものもありのままに書いてみよう。たとえそれで読者に引かれたり嫌がられたりしたら、それはそれでしかたない。とにかく思いっきり書いてみよう。

 そんな決心をして書いた作品なので、フルートたちも本当に悩んでくれました。事件も次々起きるし、とんでもなく危険な状況にも陥ります。シリーズ中、何度も危険な目に遭うフルートですが、この物語での危険度は相当なものだったと思います。

 連載を終えて、多くの読者から「良かった」「深かった」と言っていただいたときには、心の底からほっとしました──。

 

 こういう物語が好きな方も、あまり好きではない方もいらっしゃることでしょう。当然のことですが、作品をどう感じるかは、読む方それぞれの自由です。

 それでも、物語の中でフルートたちと一緒に旅をして、彼らの思いや葛藤に寄り添い、彼らの行き着いた場所を一緒に見て、何かを感じていただけたら嬉しいな、と思っています。

 

 

 さて、「フルート」シリーズには、こうした長い本編の間に、短い外伝もいくつもあります。外伝では、本編の間をつなぐエピソードを書いたり、本編に登場した脇役にスポットライトを当てて書いたりしています。

 飛ばしても本編を読み進むには支障ありませんが、読めば「フルート」がもっと楽しめるだろうと思います。

 次の作品は、フルートの剣の師匠のゴーリスと奥方ジュリアの外伝です

 よろしかったらご覧ください。

2020年3月13日

朝倉玲のサイン
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