落し物  こくっぱの母



Illusutrated by satomi


ずっと昔のお話。
まだ子どもだった私は、拾ってくるのが得意でした。
猫、犬、カエル、イモリ、ヘビ・・・。
だって、道に落ちてるんだもん。

その日は夕立。
傘も持っていなかったので、急いで家に帰ろうと走っていました。
すると、また道に落ちているんです。
白くて、ふわふわで、暖かくて、やわらかくて。
最高の落し物です。
雨にぬれて、寒そうに震えています。
あんまり、はかなげで、かわいそうで、私は迷わず拾って帰る事にしました。

拾ったのですから、家の中に持って入り、
バスタオルで、塗れた落し物を一生懸命拭いておりました。
そこに、母が登場。
驚いたのか、目をまん丸にして、大きな声で怒鳴りました。
「どこから拾ってきたの、そのヤギ!」

どうやって、母がヤギを連れ出したのかは覚えておりません。
せっかくの落し物を取り上げられた私は、大泣きしていましたので。


     
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